- 更新 4/20, 2018 -

― 葛 西 俊 治 ― 紀要・論文・研究サイト 

札幌学院大学人文学部 臨床心理学科教授・同臨床心理学研究科長



 ★近況や関連情報など★ 
  • 「身体心理療法」の講義は国内初、今年で8年目となります。
    *用務多忙のため、2015年度から非常勤講師の美馬千秋先生にお願いして、
    私はゲストとして参加いたします。
    なお、2014年「日本ソマティック心理学協会」設立され、身体心理療法領域が新たに展開されています。

  • 「ダンスセラピー・リーダー資格」
    日本ダンス・セラピー協会のこの資格は、全国の大学では唯一、
    札幌学院大学臨床心理学科の「応用実習B (芸術療法)」「健康援助学特論」で取得できます。
    葛西ゼミでも取得できるようになり、合計で100名余が資格を取得しています。


  • 精神科ディケアでの「ダンスセラピー」
    1999年から開始した精神科ディケアでの一回2時間のプログラムを指導して
    2018年で19年目となります。多忙のため一昨年からは隔週となりましたが、
    海外や国内での実践体験をさらに活用していきます。


身体心理学・身体心理療法に関連して

[身体心理療法:学生向けのブログ]

  • Toshiharu Kasai
    "Small and slow movements and cultural modal shift of seeing in dance movement therapy" 2017

    『アートセラピーにおける文化的風景』(英語)
    葛西 俊治 (分担執筆)
    「ダンスセラピーにおける小さく遅い動きによる見ることについてのモードの切り替え」
    An ECArTE Publication 2017年

    ダンスムーブメント・セラピーにおいて、ささやかで小さく遅い動きがもつ効果とともに、中心視・周辺視という見方のモードが切り替るなどのセラピー的な効果が得られることを説いた。
  • Paola Esposito and Toshiharu Kasai
    "Butoh dance, Noguchi taiso and healing"

    『ダンスと健康についてのオックスフォード・ハンドブック』
    パオラ・エスポジト ・葛西 俊治
    (分担執筆:第14章)
    Oxford University Press 2017年

    第14章「舞踏ダンス、野口体操そしてヒーリング」について、Paola Esposito博士との分担執筆。舞踏とそのレッスン、特に野口体操のアプローチに基づいて、心身の健康と精神的成長を向上させる方法を説いた。


  • 葛西俊治
    舞踏の方法を取り入れた精神科領域での安全なダンスセラピーについて
    日本ダンス・セラピー協会第24回学術研究大会 (大妻女子大学) 2015, 10/31-11/1
    日本発の前衛的パフォーミング・アーツである舞踏は、海外では白塗り剃髪の舞踏家による特異なインパクトによって知られている。そのため、臨床領域でのダンスセラピーに舞踏の方法を取り入れる際には、心身状況や自我境界の強さなどを注視して行う必要がある。安全な範囲での穏やかなレッスンと心身の強度をやや必要とするレッスンを比較して、対象者に合わせてセッションを構成する必要性を提示する。

    配付資料「舞踏の方法を取り入れた精神科領域での安全なDMT」(PDF)

  • Toshiharu Kasai
    Significance of Slow and Small Movements in Japanese Dance Therapy (PDF)
    ECArTE 2015 (13th European Consortium for Arts Therapies Education) 2015年9月

    ECArTEとはヨーロッパにおける四種類のアートセラピー(ダンスセラピスト、アートセラピスト、ドラマセラピスト、ミュージックセラピスト)が一堂に会して各国における指導レベルの強化を目的として隔年で開かれる大会です。今回はイタリアはシシリー島のパレルモにあるパレルモ大学や関連の施設(the Accademia di Belle Arti di Palermo)で開催された。
    2009年のロンドン大学から4回目の連続参加となる今回は、上級指導クラス(Masterclass)での発表となり、1時間半のレクチャーと質疑応答45分の長丁場を何とか英語でこなしました。
    内容は、(1)欧米流の「体験内容を言語化する」流儀について行けない、付いていかない日本人留学生(D/MTやDMPの修士二年のコース)が、なぜそうなのかを文化的側面から明示したこと(土居健郎の「甘え」も引用)、(2)小さな動きの重要な意味についてのレッスン(周辺視なども含む)、の2点を中心にして指導。"Cultural Landscape" 「文化的な(差異の)風景」というテーマに合致したものとなり、今回も非常に好評でした。

  • 葛西俊治 (分担執筆)
    『ソマティック心理学への招待』
    久保隆司・日本ソマティック心理学協会編 コスモス・ライブラリー 2015年
    昨年、結成された「日本ソマティック心理学協会」設立を記念しての出版です。 サブタイトル「身体と心のリベラルアーツを求めて」という身体心理学、身体心理療法関係の内容を網羅した本で、葛西は第七章「ダンスからの身体心理療法」(p.145-158)を分担執筆しています。

  • Toshiharu Kasai
    Three phased dance therapy program for enhanced awareness and reflection (PDF)
    ECArTE 2013 (12th European Consortium for Arts Therapies Education) 2013年9月
    ECArTEとはヨーロッパにおける四種類のアートセラピー(ダンスセラピスト、アートセラピスト、ドラマセラピスト、ミュージックセラピスト)が一堂に会して各国における指導レベルの強化を目的として隔年で開かれる大会であり、今回はパリ大学(Universite Paris Descartes他)で開催された。精神科ディケアで指導している内容を基本にした二時間のワークショップ指導を行い高い評価を得た。

  • 葛西俊治
    「暗黙知構造に基づく身体心理技法のダンスムーブメント・セラピーへの応用」
    日本ダンス・セラピー協会第22回学術研究大会,2013年8月
    意識化と無意識化の切り替えに焦点を当てた技法は、マイケル・ポラニーの暗黙知の概念に基づく「暗黙知構造」を利用した身体心理的技法。その理論的背景とともに、ダンスムーブメント・セラピーの中で実際にどのように用いてどのような効果を得られるかを体験的に解説。
    * 協会ニュースレターに掲載されたワークショップの解説と感想(PDF)

  • 葛西俊治
    「身体心理療法における間接的身心技法の構造」 (PDF)
    臨床心理学研究、第50巻第2号、1-13,2013年3月
    ダンスセラピーなどで、例えばダンスのステップ練習のような指導でなぜ心理療法的な効果が得られるか―。身体心理的アプローチの効果に関わる理由とその構造の一つを解説しています。森田療法、システムズ・アプローチ、エリクソン催眠にもふれています。

  • 葛西俊治
    「身体心理療法の現状とシステムズ・アプローチとしての展開」 (PDF)
    札幌学院大学人文学会紀要第93号、59-82,2013年2月
    この論文は前期「身体心理療法」の講義のテキストとして用います(講義時に配付予定)。
    ミラー・ニューロンの発見や複雑系科学の進展によって、これまでの心理学を「旧世紀の心理学」として位置づけていくべき大きな展開が起きています。そうした大きな発展の基礎に、ものごとをシステムとして捉える「システムズ・アプローチ」があります。ベイトソンのダブル・バインド概念の解説を含めて、システム的な思考方法によって心理学を再考する見方を示しています。

  • 葛西俊治
    『人間性心理学ハンドブック』
     (分担執筆: 暗黙知、センサリー・アウェアネス、身体像、変性意識状態) 創元社, 2012

  • 葛西俊治
    『ダンスセラピーの理論と実践 からだと心へのヒーリング・アート』
     (分担執筆:パーソナリティ理論、集団療法としてのダンスムーブメント・セラピー)
      ジアース教育新社, 2012

  • 美馬千秋・葛西俊治
    「腕の立ち上げレッスンにおける身体心理的体験の構造― 関連性評定質的分析に基づく研究」
    ダンスセラピー研究、Vol.6,No.1, 17-28, 2012 

  • 葛西俊治
    実技発表「ひそやかな動きと声音から始まる身体心理療法に向けて」
    ポスター発表「ダンスからダンスセラピーへの展開のポイントについて」

    日本ダンス・セラピー協会第20回大会、奈良女子大学 9/10-11, 2011

    協会開設から20年目の節目の年、奈良女子大学にて大会が開催された。身体心理的アプローチであるダンスムーブメント・セラピーでは、実際にセッションを指導する形式での実技発表がある。今回はそれとともにポスター発表の機会もあり、そこでは、ダンスムーブメント・セラピーがアメリカの精神科閉鎖病棟で開始された経緯ともに、アートとしてのダンスではなく「Dance for communication」を唱えたアメリカダンスセラピー学会初代会長のMarian Chaseの紹介も行った(後藤美智子氏から研究資料の提供を受けた。記して感謝いたします)。

  • Toshiharu Kasai
    "Feeling, a subconscious and built-in physical evaluation system, works in Butoh dance method" (PDF)
    (邦題:舞踏ダンスメソドにおける、下意識に組み込まれた身体的評価システムとしての感情)
    ECArTE: European Consortium for Arts Therapies Education, Sep.4, 2011, Lucca(Italy)

    「全ヨーロッパ・アートセラピー教育についての大会」は隔年開催される大会で、ヨーロッパ中からアートセラピスト、ドラマセラピスト、ミュージックセラピスト、ダンスセラピストが一堂に会して、それぞれ実践内容や理論的アプローチについて交流し合う大会である。2011年はイタリアのルッカという城壁に囲まれた中世風の古都市で開催された。身体心理療法および身体心理療法に関連する多彩なアプローチにふれることができた。実技発表には約70名ほどの参加者が集まり、脱力から緊張の過程に伴う様々な感情の発生とその展開を「舞踏ダンスメソド」(身体心理療法的システム)に基づいて体験的に紹介することができた。
    *こうした経緯で、2012年の夏にはフランス、オランダなどの研究者が来訪。

  • 葛西俊治
    「面談時における優先コミュニケーション・チャンネルの基礎研究―関連性評定質的分析を用いて―」
    学会発表: 日本人間性心理学会第29回大会,208-209, 2010

    身体心理学や身体心理療法など、身体と心理の関係を長年追求してきた中で、体感型に属すのはかなり少数であることを痛感してきた。そのために身体心理的アプローチが長年、低調のまま推移してきたのではないかと考えた。この研究では、簡単な視覚的なイメージ課題においても、視覚型・触覚型・聴覚型・概念型などなどの多様なチャンネルが存在することを確認することができた。なお、分析方法としては関連性評定質的分析を用いた。
    キーワード: 優先コミュニケーション・チャンネル、間身体性、ミラー・ニューロン、
    神経言語プログラミング、関連性評定質的分析、数量化理論V類

  • 海外通信→「身体心理療法」イギリス2009-2010
    2009年度、イギリス Hertfordshire大学に滞在してダンスセラピー関係の研究を行いました。

  • 番外→「カサイト先生のリラクセイション講座」

  • Toshiharu KASAI
    "The Arm-Standing Exercise for Psychosomatic Training"
    Research note: Sapporo Gakuin University Bulletin of Faculty of Humanities, No.77, pp.77-81, 2004
    タイトル「身体心理的訓練としての腕の立ち上げエクササイズ」

    身体心理学的実践としての舞踏ダンスメソドに含まれる「腕の立ち上げ」レッスンについての解説です。

  • 葛西俊治 
    「身体心理療法の基本原理とボディラーニング・セラピーの視点」 
  • 論文: 札幌学院大学人文学会紀要 第80号,pp.85-141, 2006

    「身体は無意識内界を映し出す」という基本的立脚点に基づいて、身体心理療法の基本的原理とその心理学上の位置づけを示した論文。また、腕の脱力の困難さに関する実験的確認により明らかになったリラクセイションの原理的困難さを克服するために、身心リラクセイションに関わる三つの主要な実践的アプローチ、「竹内敏晴レッスン・野口体操・暗黒舞踏」を組み込んで展開されてきた「ボディラーニング・セラピー(身体的学習による身体心理療法)」とその実践的視点を紹介している。(56頁。下記のキーワードについて解説されている)

    キーワード: 身体心理学、ボディラーニング・セラピー、ダンスムーブメント・セラピー、舞踏ダンスメソド、暗黒舞踏、社会性緊張、自律性解放、ラベリング理論、認知行 動療法、一般意味論、学習性無力感、ダブルバインド、トラウマ、筋肉の鎧、バイオエナジェティックス、エリクソン催眠、アフォーダンス、能動的想像法、解 離性人格障害、状態依存記憶、後催眠暗示、隠れた観察者、変性意識状態、悪魔祓い、欲求階層説、X理論Y理論、経営行動科学、からだあそび、リラクセイ ション、対峙

  • Toshiharu Kasai
    "New understandings of Butoh Creation and Creative Autopoietic Butoh -
    From Subconscious Hidden Observer to Perturbation of Body-Mind System"
  • 論文 (英文): 札幌学院大学人文学会紀要 2009年度 No.86, 21-36

    「舞踏の創造についての新たな理解と創造的でオートポイエティックな舞踏―
    下意識の隠れた観察者から身心システムの摂動まで」

    [日本語試訳] (12/28, 2009)

    Key words: Butoh, autopoiesis, Hijikata, Ohno, performing art, creativity, psychosomatic, mirror neuron, somesthesia, dance therapy, posthypnotic suggestion, hidden observer, state bound memory, affordance, catastrophe, butterfly effect, chaos, perturbation, antagonistic movement, choreograph, improvisation, primary process, individualization, Cartesian dichotomy, Noguchi Taiso

    舞踏、オートポイエーシス、土方巽、大野一雄、パフォーミング・アート、創造性、身体心理、ミラーニューロン、体感、ダンスセラピー、後催眠暗示、隠れた観察者、状態依存記憶、アフォーダンス、カタストロフィー、バタフライ効果、カオス、摂動、拮抗運動、コレオグラフィー、インプロビゼーション、一次過程、個性化、デカルト的二元論、野口体操


    現在の状況: 暗黒舞踏は海外ではButohとして知られコンテンポラリー・ダンスの一領域とされている。しかし、欧米的で自我中心的ego-centricな概念を用いた議論ではButohの本質的な創造性は把握できず、ダンスセラピーなどの身体心理療法的な展開におけるButohの意義も旧来のダンスセラピー概念では把握されない。本論文は「下意識の隠れた観察者」・アフォーダンスなど、身心制御の多重性と多様性を中心に、身体的動作の創造的で心理療法的な位置づけを新たに試みている。


臨床心理学の研究法に関して


  • 葛西俊治
    「関連性評定質的分析による逐語録研究 ― その基本的な考え方と分析の実際 ―」
    論文: 札幌学院大学人文学会紀要 第83号,61-100,2008

    発想法という位置づけにあるKJ法に一定の制限を加えることによって、林の数量化理論三類、二類、一類という数理的分析法による把握と、長田による形式概念解析ソフトによる分析を行うもので、質的アプローチと数理的アプローチの統合をはかっている。グランデッド・セオリーGTAによる質的研究が抽象度の高いカテゴリーを輩出することで、詳細な実態把握に難点を抱えるのに対して、KH法(略称)は語り手の具体的で個別性の高い内容を見落とさない工夫として、提喩的把握という言語学的視点を取り入れている点に特色がある。また、「要約モデル」と「解釈モデル」の提起に際して、内的妥当性・外的妥当性についての明確な位置づけを試みている。
    キーワード: KJ法、数量化理論、形式概念解析、オートポイエーシス、解釈モデル、提喩的認識、内的妥当性、対偶


    KH法はすでに実際の研究論文作成に用いられ一定の実績を積み重ねてきている。たとえば、「強迫観念についての把握」「性教育を指導するピア・カウンセリングの問題点」「病院における看護師の意識」「糖尿病におけるノン・コンプライアンス言動に関わる把握」「援助行動における意識」「高齢での介護における希死念慮」等々、いずれも逐語録あるいは自由記述回答を対象として質的および数理的解析が行われている。
     GTAやIPAにおける「サブカテゴリーとカテゴリー」における過度の抽象化によって生じるような問題を乗り越え、現場の実態把握とそれに基づくモデル提起に一定の成果が得られている。


★逐語録の関連性評定質的分析について

KJ法的アプローチにいくつかの制限をおくことで、「空間配置図」から数量的な分 析図とラベル構造の分析図を生成できます。そのための「分析の実際」については2007年後期からサイトにて公開しています。
 これに関連して、「一人から少人数に対する質問紙の質的分析」が「形式概念解析」(長田博泰:札幌学院大学社会情報学部社会情報学科教授による解析プログラム: 6/21,2007追加) によって分析可能となっています。
 GTAやIPAのコード化作業によって失われがちな現場の実際的情報を維持しながら質的研究を行う「関連性評定質的分析」の理論化と実際的方法が整ってきましたので、修論や博士論文あるいは質的研究を用いる心理・看護・教育などの領域における研究をサポート中です。



  • コンジョイント分析の面談時実行と即時提示による聞き取り
    長時間の聞き取りによる逐語録などの分析は、KJ法的な方法では時間がかかりすぎるため、あまり現実的ではありません。したがって、KJ法的な方法を用いるためには、聞き取りそのものがより適確であり、テーマに即した適切な聞き取りを比較的短い時間で実現することが重要となります。
     その場合、面談時にテーマに関する簡単な評価作業を行ってもらい、その内容を即座に分析して被検者に提示することによって、聞き取りの内容をより精緻なものにしていくという方法をとることができます。コンジョイント分析はテーマに関する複数の要因について、被検者にとってそれぞれどの程度の重要性があるかを割り出す分析法です。これを面談時に実施して直ちに分析し、得られた結果を被検者に提示することによって聞き取りをより適確なものとすることができます。(PAC分析、すなわち個人別態度構造分析とは違いますが発想には似た点があります。)
     上に示した『中学教師と臨床心理士の、子どもの援助様式についての一考察 ― 8名へのインタビュー調査による事例研究的アプローチ ―』では、コンジョイント分析の面談時実施・即時提示方式によって、スクールカウンセラーと教師との不登校児に対する対応の微細な差違を見いだすことができました。 このように、質的アプローチをより適確にものにするために、数量的方法を併用するという方針で「関連性評定質的分析」も組み立てられています。



  • 葛西俊治
    「心理学的研究における統計的有意性検定の適用限界」
    論文: 札幌学院大学人文学会紀要 第79号, pp.45-78, 2006

    長年問題となっている有意性検定について吟味し、研究結果の一般化を求めて行われる統計的検定の厳密さとは裏腹に、得られた検定結果の解釈が「たとえ話」的な位置づけにあることを指摘している。
    キーワード: 解釈的質的心理学、数量的心理学、統計的有意性検定、有意水準、母集団、標本抽出、人間の斉一性、一般意味論、無記
    現在の状況: こうした一編の論文が書かれることによって心理学領域などでの数量的アプローチの実情が一挙に変化するはずもありません。ただし、統計的有意性検定によって研究結果の一般性を主張しうるという理解は、少なくとも心理学を含む社会科学領域においては相当に困難になったといえます。そのため、解釈的アプローチや個性記述的アプローチ(idiographicapproach)が、「一般化に至らない」という論拠のみによって誹謗されるといった「暴挙」に対しては一定の歯止めとなっていると考えられます。
  • 葛西俊治
    「解釈的心理学研究における理論的基 盤とア ブダ クションに基づくモデル構成法」
    論文: 札幌学院大学人文学会紀要 第78号,pp.1-26, 2005

    面接などでの逐語分析・プロトコル解釈が提喩的認識によって一般的に了解される経緯を、解釈的アプローチの基本構造と共に提示。その際、現象学的観点ではなく、認識の比喩性という点に「了解」の基盤を求めている。
    キーワード: 質的心理学、解釈的アプローチ、措定、事実性、アブダクション、提喩、一般意味論、多重併存モデル

    現在の状況:  「アブダクションに基づくモデル構成法」という方法は、川喜多二郎によるKJ法の理念と共通性がありま す。「演繹・帰納」の間に挟まっている「アブダクションabduction」(C.S.Pierce)を「発想法」と名付けたのが川喜多二郎であること、その具体的実践技術がKJ法である訳です。この論文は結果的にKJ法の理論的背景の一端を示したことにもなるでしょう。この論文で述べている「アブダクションに基づくモデル構成法」は技法としてのKJ法と親和性が高いので、現在、臨床心理学的な面接記録・プロトコルをKJ法的な発想を主柱にして構造化するという実践的技法の開発を行っています。2005年度の修士論文の一つ、『中学教師と臨床心理士の、子どもの援助様式についての一考察 ― 8名へのインタビュー調査による事例研究的アプローチ ―』において、KJ法を応用した方法での研究が行われました。

    *2006年度の修士論文として、『子どもを亡くした母親の悲嘆に関する研究 〜 中年期に一人しかいない子どもを小児がんで亡くした母親との面接を通して』という研究が、対象者三名からの逐語録に基づいてKJ法的方法で行われました。


* 紀要に掲載された上記の論文はpdfファイルへの転換に伴って、
ページ番号・行数にズレがあります。
必要な方は別刷りをまでご請求ください。*



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