音楽のインターネット配信と著作権問題

 

x06003

 

1.序

 今日、インターネットの普及やパソコン・携帯電話の技術革新が進み、多くのことがパソコンや携帯電話一つでできるようになってきている。そのなかでもインターネットを利用しての音楽配信は近年話題となっている。ダウンロード自体はとても簡単で、誰にでも気軽に利用することが可能になっている。ダウンロードした曲はiPod等のデジタルオーディオプレイヤーや携帯電話等で聴くことができ、手軽に持ち運ぶことが可能である。しかし、最近では音楽のインターネット配信について様々な問題が起きている。それは、著作権を無視した違法な音楽の配信である。主な例としてMUSICeCLUBでは、CDからエンコードしたMP3ファイルを海賊版として違法にインターネット上に配信しているケースがそれに該当するとしている(MUSICeCLUB 2006)。また、違法な音楽配信にもかかわらず、それを安易な気持ちで利用する者が急激に増えてきていることも問題のうちの一つである。これは、その利用者を特定し、摘発することが非常に難しいという理由からである。また、詳しい罰則規定が世間一般にあまり知られておらず、そのことが原因で利用者を急増させている。

 この違法性を有する音楽配信に対して、マイクロソフト社はWindowsMediaPlayerなどのデジタル著作権管理(Digital Rights Management, DRM)を用いたフォーマットを登場させた。しかしながら、Napsterなどの音楽を中心とした共有ソフトが普及し、海賊版配信の問題が急速に拡大したと報告されている(ウィキメディア財団 2006)。本稿ではこうした問題を検討し、インターネットでの音楽配信と著作権侵害の問題をどのようにして解決していくべきかを主張する。

 本稿の構成は次のとおりである。まず著作権に関する著者とは反対の意見を挙げる。次に、その意見についての問題点を指摘する。そしてそれらの問題を解決するためには、どのような対策をしていくべきかを提案する。

 

2.著作権に対する新たな意見と著作権侵害が急増する原因

 インターネットでの音楽の違法配信は、今日、著作権侵害という大きな問題を引き起こしている。著作権を無視した音楽配信について対策が検討されているなか、著作権に対する新たな意見が出現してきている。以下はその新たな意見の引用である。

 

「著作物は人類全体の財産であるのだから、社会発展のために著作者の権利に一定の制限を加え、広く社会に普及させるべきである。」(尾崎 2006)

 

上記のような意見は本当に正しいのだろうか。たしかに、社会発展のために著作者の権利に一定の制限を加え、著作物を広く普及させるという点だけ考えるのであれば、まったく問題はない。しかし、著作者側だけに一定の制限を加えてしまうと、使用者側の権利のみが拡大してしまい、著作権が軽視されるという状態をつくりだしてしまう可能性がある。このような状態をつくりださないためにも何か対策を講じなければならない。しかしながら、著作権についての規定を定めている著作権法自体が現代の風潮に合っていないという問題もある(現代用語の基礎知識 2006)。では、著作権法とはどのようなものなのかをここで簡単に説明することにする。

 

「著作権法とは、創作的表現に関する権利を規律する法律のことである。その対象は、創作者(著作者)に帰属する著作権、著作者人格権と、創作物(著作物)の流通や伝達を担う者に与えられる著作隣接権である。」(現代用語の基礎知識 2006)

 

当初、著作権法の対象となっていたのは、音楽や文学などの芸術文化の発展に関わるもののみであった。しかし、コンピュータープログラムなどの産業的分野が著しく発展した20世紀後半頃からは、著作権法の適用範囲を従来よりも大幅に拡大した。しかしながら、近年社会問題になっているインターネットを利用した音楽の違法配信などの複合的な項目には、法制度の不備という点で対応しきれていない。しかも、未だにこの法制度の不備が補われていないため、音楽の違法配信による著作権侵害の被害が拡大している。

また、音楽の違法配信と著作権侵害が急増する原因になったファイル交換ソフトについても、今後その使用目的に対して制限が加えられていくことが予想される。では、ファイル交換ソフトとはどのようなものなのか。ここで簡単に触れておくことにする。

 

「ファイル交換ソフトとは、ネットワークに接続した利用者のパソコン相互間(P2P)でデータ・ファイルを交換するのを支援するソフトのことである。」(現代用語の基礎知識 2006)

 

このファイル交換ソフトは、情報交換の流通コストを低減させるという点と多くの人が簡単に利用できるという点で画期的な発明とされている。しかしながら、デジタル化された著作物が大量にウェブ上を流通することになり、そのことで著作権者の利益を著しく損なわせてしまう原因にもなっている。また、近年話題になっているように、ファイル交換ソフトを使用しているパソコンに、秘密情報や個人データなどを取り込むと、使用者が知らないうちに外部にその情報が流れてしまうという危険な状況もつくりだしている。このように、ファイル交換ソフトは著作権者の権利を著しく損なわせる原因をつくるだけでなく、ソフトを使用した者にも不利益を与えるという危険性を有している。しかし、未だにファイル交換ソフトを使用している者がいるというのが現状である。次節では、違法性を有した音楽配信による著作権侵害を防止するには、具体的にどのような対策をしていくべきかを検討することにする。

 

3.著作権軽視の状態をつくりださないための対策(結び)

 まず考えられるのは、現代の風潮に合っていない著作権法を見直すことである。第2節でも述べてきたように、この著作権法は、今現在問題になっている複合的な著作権問題に関しては対応しきれていない。このことによって著作権侵害の被害が拡大しているならば、著作権法の不備を見つけだし、現在必要とされている項目に対応していくという対策をしなくてはならない。また、著作権法の改正とともに、著作権侵害をした者に対する罰則規定を強化していかなくてはならない。罰則規定を強化することによって、安易な気持ちで著作権侵害をする者も減少していくと予想される。次に考えられる対策として、著作権問題や著作権侵害をした者に対する罰則規定についてもっと深く知るということが考えられる。国や各地方自治体が積極的に著作権に関する勉強会を開催し、広く国民に著作権やそれを取巻く問題について知ってもらうことが重要である。また第1節でも述べたように、著作権侵害を犯した者への罰則が世間一般に知られていないということも問題である。この問題を解決していくためには、やはり前述のように、国や各地方自治体が積極的に勉強会を開催し、国民に知識を植えつけていく必要がある。

 このように、著作権侵害の問題を解決していくためには、著作権法の欠点を補うこと、また国や各地方自治体、国民一人一人が著作権に関する意識を向上させることが重要になってくる。

(字数2787)

 

 

参照文献

ウィキメディア財団(2006)「ブートレグ」『ウィキペディア』

URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%B0.

閲覧日20061127

 

尾崎 茂(2006)『先生のための著作権入門の入門』学事出版

 

現代用語の基礎知識(2006)「著作権法」自由国民社

 

現代用語の基礎知識(2006)「ファイル交換ソフト」自由国民社

 

MUSIC e CLUB(2006)「これだけは知っておこう!音楽著作権」

URL: http://www.music-eclub.com/lesson/koreshiri/. 

閲覧日20061127