1-4 プログラムの保存・実行・終了

【基礎課題 1-3】

前節までに作ったプログラムを保存しましょう。

すでに皆はプログラミングBの課題保存用フォルダ「ProgB」を作成している筈です (まだ作成していない人は各自に割り当てられている学生保存用フォルダ内にフォルダ「ProgB」を作成して下さい)。この「ProgB」の中に、今作ったプログラムを保存します。

Delphi での保存方法は少々複雑です。保存に失敗すると大変です。ここでしっかり頭に入れておきましょう。

<プログラムの保存>

Delphi では、二段階の保存が必要です。

★ 第一段階 ユニットファイルの保存

(1) Delphi の「ファイル」メニューから、「名前を付けて保存」を選択します。

(2) すると、「Unit1に名前をつけて保存」というダイアログが現れます。ここで保存する場所を「ProgB」に選びます (右側の▼をクリックしてファイルリストを表示させる事で「ProgB」のある場所までたどって行けます)。

コラム

ここで、「ユニット」という言葉の意味が気になった人がいるかもしれません。ユニットは現段階ではひとまとまりの(独立した最小単位の)プログラムと理解しておいて下さい。 当面は一つのプログラムに1ユニットという簡単なプログラムのみを扱いますが、第8章で、 複数のユニットを組み合わせて一つのプログラムを作る例を学習します。

(3) 「ProgB」の中に、本課題保存用のフォルダ「Kiso1-3」を作成します。*)

*) 右ボタンをクリックして「新規作成」→「フォルダ」を選択し、フォルダ名を「Kiso1-3」と入力すればフォルダ「Kiso1-3」が「ProgB」内に作成できます。

(4) 保存する場所を「Kiso1-3」にします。

(5) ファイル名をつけます。これは【基礎課題1-3】なので、「kiso1_3_f」としておきましょう。*)

*) ファイル名に使用可能な文字は英数字と下線記号「_」のみです。ハイフン「-」を用いるとエラーになるので注意して下さい。またファイル名はどの様なものでも良いのですが、本講義(実習)では、フォームに関するユニットという意味が分かるように、「課題名_f」という約束で命名する事にします。

(6) [保存] ボタンをクリックして、ユニットファイルの保存完了です。

★ 第二段階 プロジェクトファイルの保存

(1) Delphi の「ファイル」メニューから、「プロジェクトに名前をつけて保存」を選択します。

(2) 「Project1に名前をつけて保存」というダイアログが現れます。保存する場所を選んでから、ファイル名をつけます。この基礎課題では、「Kiso1_3_p」としておきましょう。

(3) [保存] ボタンをクリックしてプロジェクトファイルの保存完了です。

注意 本講義(演習)では、混乱を避けるために、一つのプログラムを作るたびに一つのフォルダを作って、そのフォルダの中にプログラムを保存していくことにします。ですから、課題毎に新しいフォルダKiso1-4、Kiso1-5、…をつくる作業は、毎回必要になります。保存操作は、ぜひ早めにマスターしてください。

なお、これ以降は特に断らなくても、基礎課題および応用課題はそれぞれ必ず保存する様にして下さい。

コラム

「なぜ、2段階に分けて保存しなければならないのか?」、「そもそもプロジェクトファイルとは何なのか?」等々、いろいろと疑問 (あるいは不満) がある人もいるのではないでしょうか?もっともですね。これは Delphi の分かりづらいところかもしれません。しかし、便利なところでもあるのです。

Delphi のプログラムを起動させる場合、開発者が作ったユニット(プログラム)以外に、そこで設計されたフォームの情報(フォームの形状、貼り付けられたコンポーネントの種類等の情報)等が必要になります。昔は開発者が全てそれら情報の作成・管理を行わなければならなかったのですが、Delphi ではそれらを自動的に一括管理してくれます。その管理を行ってくれるのが「プロジェクトファイル」なのです。ビジュアルプログラミングでは開発者は、コンポーネントの選択とユニットファイル(プログラム)の作成に集中すれば良いのですが、それを実現してくれるのがこの「プロジェクトファイル」なのです。大変便利になったのですから、保存する手間くらいは辛抱 (!?) して下さい。

コンポーネントの削除の仕方*)

(1) メニューから、削除したいものを選択する。

(2) Delphi の「編集」メニューから「削除」を選択する。または、直接 [Delete] キーを押す。

*) 削除したい (フォーム上の) コンポーネントをクリック (選択) し、

のいずれかの操作でも削除できます。

【練習問題】

フォームの上にあるすべてのコンポーネントを削除して下さい。

< Delphi の終了の仕方 >

ここでいったん、Delphi を終了させてみましょう。

Delphi を終了するには、次の2通りがあります。いずれかで終了させてください。

  1. Delphi の「ファイル」メニューから「終了」を選択する。
  2. Delphi ウィンドウ右上隅の×をクリックする。

なお、今の場合、現在編集中のプログラムに対する保存の可否を問うダイアログが現れますが、ここでは [いいえ] をクリックして終了します。プログラムは先ほど保存してあるので大丈夫です。

終了後、再び、Delphi を起動して次へ進んで下さい。

【基礎課題 1-4】

下の図のような、電子メールの送信画面を作って下さい。

ここに、メールの本文を書く欄は「エディット」コンポーネントでもよいのですが、新しいコンポーネント、「メモ」コンポーネントを使ってみましょう。

コンポーネントパレットの「Standard」タブにある、「メモ」コンポーネントを貼って下さい。

「Memo1」という文字が書かれていますが、そのままでもかまいません。*)

*) 実は「Memo1」という文字はオブジェクトインスペクタの“あるプロパティ”の中に入っています。このプロパティの値を消去することで、「Memo1」を消すことができます。気になる人は、消す方法を探してみて下さい。

上のフォームが完成したら、このプログラムを保存しましょう。【基礎課題1-4】なので、「Kiso1-4」フォルダの中に、ユニットファイル名「kiso1_4_f」、プロジェクトファイル名「Kiso1_4_p」として保存して下さい。

<プログラムの実行>

保存したプログラムを実行してみましょう。

実行方法は、三通りあります。どれかの方法で実行して下さい。

(1) Delphi の「実行」メニューから「実行」を選ぶ。
(2) 「実行」を表すスピードボタンを押す。
(3) 「F9」キーを押す。  

実行したら、次の4点を確認して下さい。

  1. 「件名」「宛先」「メール本文」の欄に、入力ができること。
  2. チェックボックス欄のチェックとその解除ができること。
  3. 「このメールの重要度」の値を自由に変えられること。
  4. 「送信する」「キャンセル」両方のボタンが押せること。

残念ですが、「送信する」ボタンを押しても、メールが送信されることはありません。その動作部分を、まだプログラミングしていないからです。

ボタンを押したら、自分のしたいことをしてくれるようなプログラムを作る。それが本講義 (演習) の目標なのです。これは次章以降で学習します。

<プログラムの終了>

プログラムの終了の主な方法は、2つあります。

(1)フォームの右上の×ボタンを押す。

(2)Delphi の「実行」メニューから「プログラムの終了」を選ぶ。

プログラミングでは、すでに作ったプログラムに新たな機能をつけ加えて、プログラムを少しずつ良くして行く場合が多々あります。その練習をしてみましょう。

【基礎課題 1-5】

【基礎課題 1-4】のメール送信プログラムを少し修正します。まず、プログラムが開かれている状態で*)、(【基礎課題1-5】のプログラムとして) プログラムを保存し直します。

*) 【基礎課題 1-4】のプログラムが開かれていない状態の場合は、<新たにプログラムを作成する際の手順>の「II. 既存のプログラムを活用したい場合」を参照して【基礎課題 1-4】のプログラムを開いて下さい。

<保存の仕方>

第一段階 ユニットファイルの保存
  1. Delphi の「ファイル」メニューから「名前を付けて保存」を選択する。
  2. 保存する場所として「ProgB」を選択し、ここに新しいフォルダ「Kiso1-5」を作成する (【基礎課題1-3】<プログラムの保存>(3)参照)
  3. 保存する場所を「Kiso1-5」に変更し、ファイル名を「Kiso1_5_f」としてから保存する。
第二段階 プロジェクトファイルの保存
  1. Delphi の「ファイル」メニューから「プロジェクトに名前を付けて保存」を選択する。
  2. 保存する場所が「Kiso1-5」になっている事を確認し、ファイル名を「Kiso1_5_p」としてから保存する。

注意 このように新たに名前を付けて保存することによって、「Kiso1_4」のプログラムを誤って上書き保存してしまう心配がなくなります。一般に、新たなプログラムを作り始めるときには、真っ先に保存をするように心がけましょう。これがミスを防ぐコツです。

これからが新しいプログラムの作成開始です。メール送信プログラム (フォームデザイン) を、下のように修正して下さい。

できたら、Delphi の「ファイル」メニューから「上書き保存」*)を選んで保存して下さい。

*) すでに開いているファイルを編集し、現在のファイル名のままで保存する場合には、「上書き保存」を選択します。この場合、2段階で保存する必要はありません。「プロジェクトファイル」に含まれる全てのファイルが同時に保存 (更新) されるからです。

以下に、新たにプログラムを作成する際の手順をまとめておきましょう。

<新たにプログラムを作成する際の手順>

すでに Delphi を起動し何らかの編集作業を行った場合は、Delphi「ファイル」メニューから「すべて閉じる」を選択する。

そして…

I. 新規に作成したい場合
  1. Delphi の「ファイル」メニューから「アプリケーションの新規作成」を選択する。
II. 既存のプログラムを活用したい場合
  1. Delphi の「ファイル」メニューから「プロジェクトを開く」を選択する。
  2. 利用したいプログラムのあるフォルダを探して、該当するプロジェクトファイルを選択する。

※ 「課題名_p」という形式で命名していれば、容易に見つけることができる筈です。

注意 すでにあるプログラムを利用するときも、新規に作り始めるときも、最初に (新しい名前で) 保存することをすすめます。最初に保存しておくと、プログラムを作り終えてから「上書き保存」するだけでよいのです。